スターバックスの前身となったのは、「イル・ジョルナーレ」という店。
1985年、創業者のハワード・シュルツは、イタリアのエスプレッソ・バーを完璧に再現しようとしていた。
店で流れる音楽は、オペラだけ。
店員は蝶ネクタイを着用。
完全なスタンド・バータイプで、椅子は一脚もない。
もちろんメニューもイタリア語だ。
しかし、そこは、アメリカの北西部、シアトルの街。
いいんだけれど…。
何かが違う…。
模索しながらも、徐々に新しいスタイルのコーヒーショップに進化させていった。
おなじみのゆったりしたソファも備え付けられるようになった。
どこかイタリアの匂いはするが、シアトルの生活にピッタリするように。
それは、やがて「シアトル コーヒー スタイル」と呼ばれるようなものになっていた…。
スターバックスは、初めにハワード・シュルツが考え、スタートしたものとは随分異なるものになった。
商品やサービスは、実践の中で磨かれ育っていくものだ。
そして、変わっていく中にも、どこかに創業者の精神が宿っているのを感じることができる…。