セブンイレブンと東レ  40年の一貫性

コンビニエンスストアのセブンイレブンが、
国内第一号店を1974年に開業してから40年が経った。

今では、国内に15,000店、海外に35,000店のおよそ50,000店を展開している。

開業以来、順調に成長してきたが、2000年代初めは、「冬の時代」だった。

8年連続で既存店売上高が前年割れになったのだった。
他社と同質の競争になっていたのだ。

この数年で、高齢者市場や中食市場に対応するなど、ビジネスモデルを再び革新して、成長軌道に乗せている。
流通業であるコンビニエンスストアという商売は、 消費者の「変化に対応する業」であり、「変化を追求する業」だ。

同じ40年という時間を経て、華開いているのが、東レの炭素繊維事業だ。

セブンイレブンが開業した70年代初めに、東レは、世界で初めて炭素繊維の量産化に成功した。
それから、膨大な研究開発費を投じてきたが、炭素繊維の市場は釣りざおやゴルフクラブ以外に広がらなかった。

2000年初めに、ようやくアメリカの飛行機製造会社であるボーイング社から
「次の飛行機は炭素繊維でやりたい。胴体も主翼もすべて、東レに任せたい」という話が来た。

それから、10年、ようやく事業が黒字になり、大きな売上と利益を計上することができるようになってきた。

東レは、素材を開発し製造する会社だ。
その事業の進め方は、「林業」のように、大きな木を長い時間をかけて育てていくものだ。

同じ40年という時間だが、基幹となる生産財を生産する企業と、消費者の変化に対応する流通・サービス業では、戦略も時間の意味も異なる。

しかし、それぞれが追求する「一貫性」というものは共通しているように思える…。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

目次