ドラッカーの師でもあった経営コンサルタントのメアリー・フォレット。
対立の中に「統合」という解決策を提示した。
「統合」とは、一方的な「支配」でもなく、互いにいやな思いをしながらの折衷的な「妥協」でもない。
互いに満足のいく「創造的な解決策」とでも言うべきものだ…。
彼女が挙げた事例が印象深い。
「図書館の窓」問題だ。
図書館の小さな読書室で、二人の人が本を読んでいた。
一人(Aさん)は、「窓を開けたい」と思った。
もう一人(Bさん)は、「窓を開けたくない」と思った。
(「対立」である)
Aさんが「窓を開けたい」と思ったのは、
「空気が淀んできたようなので、換気がしたい」と思ったからだった。
Bさんが「窓を開けたくない」と思ったのは、
「風邪気味でもあるので、外の冷たい空気に直接あたりたくない」と思ったからだった。
(片方の「支配」でもなく、いやいやながらの「妥協」でもない「第三の道」は果たしてあるのか?)
誰もいない隣の部屋の窓を開け、読書室に通じる扉を少し開けて、新鮮な空気が入るようにした…。
「外の冷たい空気に直接触れることもなく、新鮮な空気で換気もできる」ようになったのだ。
AさんもBさんも満足のいく「統合」がなされたのである。
「統合」によって、どちらも犠牲をはらうことなく、しかも、新しい価値を手に入れることができた。
「あれかこれか」の二者択一ではなく、「統合」の道を探すこと、
それが、管理者の発揮すべき創造性だとフォレットは言っている。