「正々堂々と戦う」・・・経営に生きる「孫子」

高校野球などでの「選手宣誓」。

「正々堂々と戦うことを誓います」というフレーズがよく使われる。

この「正々堂々」とは、中国の古典「孫子」から出ていることはあまり知られていない。

元々は、「正正の旗」、「堂堂の陣」と、二つの単語として使われている(孫子「軍争篇」)。

「旗が正正としている」…旗が乱れずに行進している

「陣が堂堂としている」…大きな建物のようにしっかりした構えの軍隊

そして、孫子が言いたかったことは、実は…

「正正の旗」の軍隊を迎え撃ってはいけない。

「堂堂の陣」の軍隊を攻めてはいけない。

ということだ。

なぜなら、こうした「正正堂堂」の敵と戦うと「負ける」からである…。

「孫子」は、「勝つ」ことよりも、「どうしたら負けないか」を説いている。

「正正の旗」は、さらに「正しい戦の目的」とも解釈できる。

いわゆる「錦の御旗」である。

「錦の御旗」を持った方が、「大義」があるとみなされる。

現代の経営で言えば、「旗」とは、「ビジョン」、「ミッション」にあたる。

組織が高く掲げる「旗」、「ビジョン」・「ミッション」が、広く社会の賛同を得られるものなのか…?

周りから応援したいと思われるものなのか…?

「私利私欲」で掲げる「旗」は、「正正の旗」と認められることはないだろう。

それは、戦いにおいて決して強いとは言えない集団である。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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