「先義後利 義を先にして利を後にする」・・・老舗の経営哲学

日本に創業100年を超える企業は、27,000社以上あるという(商工リサーチ調べ)。

上場企業の中では、松坂屋と大丸を統合した「J・フロントリテイリング」は、長い業歴を持つ。

松坂屋は400年、大丸は、300年近い歴史だ。

その大丸の「店是」は、「先義後利(せんぎこうり)」だ。

詳しく言えば、「先義後利者栄」である。

「義を先にして利を後にする者は栄える」

「まず正しい道を先にして、利益を後にする者は栄える」

原典は、「荀子(じゅんし)」。

荀子は、孔子が亡くなってから百数十年後に活躍した思想家。

大丸の創業者、京都の下村彦右衛門に伝えたのは、その時代に活躍した石門心学の石田梅岩だったであろう。

原典では、「先義後利」について、もう少し詳しく説明している(「栄辱編」より)。

「義を先にして、利を後にする者は栄える」

         ↓

「栄える者は、常に通じて、止まることがない」

         ↓

「通じる者は、人を制する」

一方、

「利を先にして、義を後にする者は、辱(はずかし)めをうける」

         ↓

「辱めをうける者は、常に窮する」

         ↓

「窮する者は、人に制せられる」

両者を対比して、これでもかと説く荀子の筆は鋭い。

「先義後利」とは、たんなる精神論、道徳論ではない。

後に続く 「者は栄える」 という言葉が大事だ…。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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