二宮尊徳は、江戸時代の思想家であり、農村指導者あるいは「経営コンサルタント」として、疲弊した多くの農村を再興した。
二宮尊徳は、「遠い将来を考えて行動する人は、裕福になり、短期的に考える人は、貧しくなる」ということを人々に教えた。
「遠くをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠くをはかる者は百年のために杉苗を植う
まして春まきて秋実る物においてをや
ゆえに富有なり
近くをはかる者は春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ目につく
故に貧窮す」
「将来を考える人は、百年のために杉の苗を植える。
もちろん、秋実るものを考えて春、種をまく。
だから豊かになるのだ。
しかし、近くのことばかり考える人は、春植えて秋に実るなど遅すぎる。
目の前の利益に迷って、何も植えようとしないで刈り取るばかりだ。
だから貧しくなるのだ・・・」
企業の経営計画も、将来の「杉」となる人材育成を基本とする。
人材の「材」とは、育つのに数十年かかる大木を意味している。
財務的には、単年度の売上や利益のみを追求するのではなく、数年後に達成すべき「バランスシート(無借金経営など)」を基本として、毎年毎年の努力の積み重ねで実現していく。
二宮尊徳が5歳のとき、近くを流れる酒匂(さかわ)川の氾濫で、家の田畑はすべて流された。
尊徳は、貧しい子供時代に、子守の駄賃の中から、松の苗を譲ってもらい、川の堤防に植えていった。
今でも、酒匂川の堤防には、尊徳ゆかりの大きな松並木が続いている・・・。