「宅急便」を可能にした「全員経営体制」とは?

1976年からヤマト運輸の「宅急便」が始まった。

今のビジネスモデルというと「C to C(コンシューマーからコンシューマーへ)」という形態だ。

宅急便を始める前のヤマト運輸は、百貨店の個人宅への配送(「B to C」ビジネスからコンシューマーへ)とメーカーから営業所へ(「B to B」)というビジネスの形態だった。

個人の家へ届けた経験はあったが、個人から荷物を引き受けるという経験はなかった。

荷物がどこから「沸いてくる」のか、わからなかった・・・。

そのために運転手がどこから荷物が出てくるのか、情報をつかんで対応するしかなかった。「セールスドライバー」である。

これまでの営業課長が百貨店へ営業するという体制から、運転手が、営業もし、荷物を集め、運び、届けるというドライバー中心の体制に変えるしかなかった。

しかも、ドライバーは、朝、出たきり、夜まで事務所に戻らない・・・。

そこで導入したのが「全員経営体制 」だ。

全員経営体制とは、

1.全社員が同じ経営目的に向かい、同じ経営目標を持つ

2.目標を達成するための方策は、社員一人ひとりが自分で考えて行動する

つまり

社員の自律的な行動に期待するということ

繰り返すと、

1.社員に目標は与えるが、

2.会社側は、やり方について命令した入り、指図したりせずに、

3.社員がその成果に責任をもって行動する(小倉昌男「経営学」より)

仕事に自律性を重んじ、かつ成果に対して責任を持つ「全員経営」は、お客様の立場に立って、どうすべきかを判断し実行するという「企業文化」を形成するものだ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

目次