ピーター・ドラッカーが「マネジメント」で言いたかったこと

遅まきながら、小説「もしドラ」を読んだ。

主人公川島みなみが、高校の野球部のマネージャーとして、「マネジメント」を行う。

ドラッカーの言葉がうまく引用されていてわかりやすい。


ドラッカーの「マネジメント」に対する考えは、「マネジメント」という大著(原文811頁)の最終頁の最終の三行に表われている(川島みなみの愛読した「エッセンシャル版」という抜粋版では曖昧になっているが・・・)。



「結論」


「彼(マネージャー)は、自分が公的な人間であることを受け入れなければならない。

彼は、組織の道徳的な責任を受け入れなければならない。

個人個人の強みを生産的にまた達成可能なものに変えるという責任である」


Conclusion


he must accept that he is a public man.

He must accept the moral responsibility of organization,

the responsibility of making individual strength productive and achieving.


ドラッカーは、ナチスが迫るオーストリアからアメリカへ脱出した。
個人を直接一つの国家に結び付けるナチスのような全体主義との闘いが彼のテーマであった。


社会に、国家以外の様々な自律的な組織があり、そこで、個人が自分の強みを生かし、生きがいを得て、

同時に社会に貢献するという組織社会の実現こそが、全体主義を防ぎうるものだと考えた。


大企業であれ、公的機関であれ、どんな小さな組織であっても、マネージャーは、「パブリックマン(社会的人間)」としての責任を自覚して行動すること。

これがドラッカーの願いであったと思う。

「もしドラ」の川島みなみも、自分自身のことよりもまず野球部(という組織)のことを考え、「パブリックマン」として行動し、成果を上げた・・・。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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