「人を導く」ということは、どういうことなのか、
「教える」とは、どういうことなのかを考えさせてくれるひとつの話を記憶している。
<短縮版でご紹介>
あるところに、「自分は鶏だ」と思い込んでしまった王子がいた。
服を捨て裸になって、鶏小屋に入ってしまった。
他の鶏と同じように腰をかがめて、餌をついばむ有様だ。
王様は、困って、国中の医者を宮殿に呼んで王子を診せたが直らない。
原因もわからない。王様は途方に暮れた・・・。
そんなある日、王様は、一人の老賢者の噂を聞いた。
王様は、最後の望みをこの老賢者に託した。
老賢者は、宮殿に来ると、早速、鶏になった王子のいる鶏小屋に行った。
老賢者は、黙ってすべての衣服を脱ぎ、王子と同じように四つんばいになって、餌をつつき始めた。
まるで鶏のように・・・。
王子は、横目でチラッと老賢者を見たようだが、何事もないように餌をつついていた。
老賢者は、何日も王子と同じように餌をつつき続けた。
数ヶ月経ったある日、老賢者は、すくっと立ち上がり、二本足で歩き始めた。
王子は、怪訝そうな目で、賢者を見たが、自分もつられて立ち上がった。
しばらくして、老賢者は、人間の食べるものを食べ始めた。
しばらくして、老賢者は、服を着た。
王子もそれにならい、やがて、王子は、鶏小屋を出ることになった・・・。
相手の立場に立って、相手と同じ目線でものを見、相手と同じところからスタートしてリードしていくことの
重要性を改めて感じる。