ポーターは、多数乱戦の業界に対しての対処法を9個挙げている。
対処法 その9/9
「川上に向かっての垂直統合」だ。
川上とは、自社のサプライヤー、供給業者だ。
ここでは、メーカーをイメージする。
川上の企業と統合することでコストを下げ、競争相手に圧力をかけることができる。
生産手段を持つからだ。
川上の垂直統合のメリットはコスト低減だけではない。
ポーターは、もう二つ挙げている(第14章)。
1)社外に情報がもれない
新商品の企画やノウハウなどが社外に漏れる恐れが少なくなる
2)差別化しやすい
自社だけが入手できる原材料を使うなどすることで、差別化をしやすくなる
現在、流通大手などは、PB(プライベートブランド)に力を入れている。
多くは、メーカーへの生産委託だが、中には、メーカーとの統合を図る例もある。
流通大手では、その製品単品で利益を出すのではなく、目玉商品と位置づけ、
来店を促し、他の商品との買い合わせで利益を確保することができる。
コンビニの食パンの例などがある。
川上に向かっての統合は(別のリスクがあるとしても)、多数乱戦業界での対処法としては強力な手段だ。