社長のためのポーター競争戦略 その1-33 「川上に向かっての垂直統合」

ポーターは、多数乱戦の業界に対しての対処法を9個挙げている。

対処法 その9/9

「川上に向かっての垂直統合」だ。

川上とは、自社のサプライヤー、供給業者だ。

ここでは、メーカーをイメージする。

川上の企業と統合することでコストを下げ、競争相手に圧力をかけることができる。

生産手段を持つからだ。

川上の垂直統合のメリットはコスト低減だけではない。

ポーターは、もう二つ挙げている(第14章)。

1)社外に情報がもれない

 新商品の企画やノウハウなどが社外に漏れる恐れが少なくなる

2)差別化しやすい

 自社だけが入手できる原材料を使うなどすることで、差別化をしやすくなる

現在、流通大手などは、PB(プライベートブランド)に力を入れている。

多くは、メーカーへの生産委託だが、中には、メーカーとの統合を図る例もある。

流通大手では、その製品単品で利益を出すのではなく、目玉商品と位置づけ、

来店を促し、他の商品との買い合わせで利益を確保することができる。

コンビニの食パンの例などがある。

川上に向かっての統合は(別のリスクがあるとしても)、多数乱戦業界での対処法としては強力な手段だ。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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