「経営者の役割」 チェスター・バーナード その1

「経営者の役割」 チェスター・バーナード その1

チェスター・バーナードには、畏敬(そして敬愛)の念を持ってきた。

「経営者の役割」、この本は、経営の勉強を始めて、かなり早い時期から書棚にはあった。

経営コンサルタントの先輩からも「良い本だよ」と薦められたこともあった。

しかし、正直、しばらくは、「歯が立たな」かった。

組織と人間という重いテーマを具体的というよりも抽象的に扱う難解で重厚な表現を読みこなす準備も能力もなかった。

しかし、バーナードの提出した組織の定義と、なぜ人は組織に参加するのかという論説ほど明快なものは、他に知らない。

数年前に、ある研究会で、発表のために、久しぶりにこの本を手に取り、読み直す機会があった。

自分の経営についての思考のベースにバーナードの組織論があって揺るがないことを再確認した。

それは、当然のことだったが、それ以上に、この本の最終結論の部分に、年を経てようやく思い当たるものがあることを発見した。

「全体としての創造職能がリーダーシップの本質である」

「組織の存続は、それを支配している道徳性の高さに比例する。すなわち、予見、長期目的、高遠な理想こそ、協働が持続する基盤なのである」(原著282頁)

など…

こうした最終結論に至るバーナードの論述を少しずつ追ってみたいと思う。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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