18年という長年の間、赤字が続いていた長崎県佐世保市のの観光地ハウステンボス。
2010年から社長に就任した旅行会社H.I..S.の澤田秀雄氏によって、
経営再建が軌道に乗りつつあり、「澤田マジック」とも言われ話題になっている。
社長就任を再三要請されても固辞してきた澤田氏。
就任にあたって、地元佐世保市と九州財界の積極的な支援を条件とした。
東京ディズニーランドの1.6倍の広大な土地と建物にかかる固定資産税は、年間約9億円。
地元佐世保市は、再建支援として、これを10年間免税とした。
また、地元財界にはこれまでの債権放棄と出資を要請し、実現した。
澤田氏は、こうして事業の環境条件を整備したうえで、いよいよ具体的な経営再建、コストの削減と売上高の増大をを目指して活動を始めた。
コスト削減の例として、広大な面積の3分の1を入場料無料ゾーンとした。
無料ゾーンについては、管理費も削減できる。
問題は売り上げの増大だ。
当初、旅行業界で成功した格安戦術をやってみたが、客数は増えなかった…。
「面白いものがなければ、客は来ないことがわかった」(澤田社長)。
園内をファミリー、シニア、若いカップル向けの3つのエリアに分けて、特徴を出した。
面白いのは、「スリラーゾーン」だ。
園内のさびれた一角に、閉鎖された美術館があった。
「お化けでも出そうなところ」だった。
ここを「お化け屋敷」の集まる「スリラーゾーン」に変えて、カップルなどに人気のスポットにしたのだ。
その他、「百万本のバラ」「世界最大規模のイルミネーション」などのコンテンツを充実させてきた。
今後は、エコシティ、スマートシティとして、コストの削減とともに先進的な未来都市を実現させていく計画のようだ。
「ハウステンボス(「森の中の家」という意味)」の土地は、もともとはヘドロで埋め立てられた大変な場所だった。
ここに本格的なオランダ都市を創ろうと夢見た人たちがいた。
この夢は、いったん挫折したが、新しい経営者を迎え、新しい形で蘇ろうとしている。
細心な計画と大胆な実行、
埋もれた経営資源の発掘(フルポテンシャル)による新たな顧客価値の創造。
経営者の挑戦は続く。