ビジネスの本質は、顧客にどんな価値を提供するかにある。
この顧客への価値を転換することで、大きな成功を収めている中小企業がある。
カメラ販売のサトーカメラは、栃木県内に18店舗を有し、従業員150人の中小企業だ。
しかし、大手の量販店にも負けずに、栃木県では、カメラ販売のシェア15年連続トップという優れた企業だ。
来客リピート率、利益率とも驚異的な数字を上げている。
大手量販店が提供している価値は、
「便利さ」や「カメラを所有すること」だ。
しかし、サトーカメラが提供しているのは、「思い出をキレイに一生残すこと」であり、
それがそのまま経営方針となっている。
このことを気づかせてくれたのが、10年ぶりに出合った70代の一人の女性客だったという。
その女性は、60代でご主人を亡くされて、毎日パチンコ屋へ通う日々だった。
ある時、初孫が生まれたので、カメラを買うことになった。
2年間、店に通って、カメラの撮り方、扱い方を学ぶ。
その後、毎日のように写真を撮って、多くの賞までもらうようになったという。
店長だった佐藤専務は、「人生の中で一番幸せな10年だった」と感謝されたのだった。
カメラというモノを売ることからく、「思い出をキレイに残すお手伝いをする」という価値の転換だ。
サトーカメラは、人口200万人の栃木県に密着し、カメラ以外を扱わず、子供からお年寄りにまで、
「カメラ」という手段で、「思い出を残す楽しさ」を伝えることで、業績を上げている。
参考になる点が多い。
参考:佐藤専務のインタビュー(雑誌「致知」6月号)、「小売・流通業の新常識」(J-net21)