「現代の金鉱掘りとジーンズ販売」…伊藤忠商事の岡藤社長

1848年頃のアメリカ。
ゴールドラッシュが起こり、多くの人が「金鉱掘り」としてカリフォルニアへやってきた。

成功して金脈を見つけたのは、ほんのわずかな人間。
多くの開拓者の一獲千金の夢は破れた…。

しかし、金鉱は見つけなかったが、商売の金脈を見つけた人がいる。

リーバイ・ストラウスもその一人だ。

普通のズボンでは、すぐに破れてしまうので困っていた金鉱掘りたちに、
丈夫な帆布で作ったジーンズ(リーバイス)を販売し、大成功したのだった。

現代の商社にも、「金鉱」と「ジーンズ販売」がある。

「金鉱」は、文字通り、鉄鉱石や石炭などの「資源ビジネス」。
「ジーンズ販売」は、食品やアパレル、小売りなどの「非資源ビジネス」だ。

「資源」で、絶好調だった商社が、今、非資源ビジネスに力を入れている。

非資源ビジネスで好調なのが、「夜の残業禁止」を打ち出して話題を集めた伊藤忠商事だ。
伊藤忠商事の非資源ビジネスの利益は、三菱商事を抜いて首位となった。

この快進撃を指揮しているのが、繊維の営業一筋だった岡藤社長だ。

岡藤社長は、かつて、「ジョルジオ・アルマーニ」や「イブ・サンローラン」のライセンス契約で伊藤忠の繊維事業を成功に導いた。

岡藤社長の非資源ビジネスの戦略は一貫している。

安定はしているが、利益の低い非資源ビジネスの利益率向上の鍵は、「ブランド」だ。
アパレルだけでなく、食品でも、「ドール」のアジア事業を買収。
「ドール」ブランドで、食品の付加価値を上げていく。

「リーバイスを見習え」と岡藤社長は檄を飛ばす。
そこには、いくつかの意味が含まれているのだろう。

・「金鉱を狙わず、人々の生活を狙え」

・「ブランドを確立せよ」

・「(社内にいないで)客先へ現場へ行け」

と…。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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