「成果を上げる意思決定」とは? ドラッカー

成果を上げる人は、「意図的に」、意見の不一致を作り出す。

「正しい意思決定のためには、意見の対立が必要だ」…?
「意見の不一致がない(全員が賛成)のときは、意思決定を行うべきではない」…?

これは、どういうことだろう?

全員が賛成の意思決定は、次の点から、非常に危険だとドラッカーは言う(「経営者の条件」より)。

1.組織の中にいる人は、意思決定をする人から、つい自分の利益を得ようとして賛成してしまうことがある。
意思決定する人に「よく思われたい」などの動機が働いてしまう。

こうして、間違った意思決定が行われてしまう。
これを防ぐのは、事実によって立証され、よく検討された反対意見の存在だ。

2.反対意見だけが、「代案」を示すことができる。
意思決定に間違いは、つきものだ。
状況が変わったときに、「代案」をひとつも持たないことになると、途方に暮れてしまうことになる…。

3.反対意見は、想像力を刺激する。想像力を引き出す。
反対意見がなければ、「その場の雰囲気で」決まってしまうこともあるだろう。

温かい部屋で、ウトウトしているうちに、重大な決定が行われることにもなりかねない。
反対意見が出ると、急に、目が覚める。
もう一度、よく考えてみようじゃないか、ということになる。

意思決定による事態の変化、人々や社会、環境への影響などについても、あれこれと想像してみる。

「意見の不一致は、もっともらしい決定を正しい決定に、
正しい意思決定を優れた意思決定に変えてくれる」

したがって、成果をあげる人は、
意見の不一致が「ない」時には、意思決定をしない。

意図的に、不一致を作り出した上で、意思決定する。
対立の中に真実を見つける。

弁証法の利用とも言えるだろう…。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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