ロンドンには、「ホワイトホール」と呼ばれる官庁街(日本で言えば「霞ヶ関」)がある。
そこで働く公務員約3万人を対象に、40年近く、ストレスと死亡率について調査している研究「ホワイトホール研究」というものがある。
それによると、中年以降の公務員で、最下層の死亡率とトップ層のそれとは、4倍の開き、生活習慣によるリスクを考慮しても2倍の開きになったという。
トップ層の方が長生きなのである。
調査は、さまざまな原因の中で、「ストレスの質」を上げている。
別の言葉で言えば「自己決定感」だ。トップ層では、ストレスも大きいが、自分が決めている、選んでいるという意識を持ちやすく(本人の思い込みもあるだろうが)、ストレスに耐えられ、(血圧も上がらず)長生きにつながるということのようだ。
この話は、NHKで放映されている「コロンビア白熱教室」の盲目の女性教授シーナ・アイエンガーの本、
「選択の科学」にも出ている。
アイエンガー教授の恩師、セリグマン教授は、「学習性無力感」という概念で有名だ。
「無力感」は、繰り返されることによって、学習され、絶望となって、人から挑戦する意欲を失わせるんですね。
人に「選択肢」を提示し、選んでもらったりして、「選択の本能」を満足させたり、小さな成功をほめたりしていくことが、元気につながるようです。