課題解決において、「ギャップ・アプローチ」と「ポジティブ・アプローチ」が対比される場合がある。
「ギャップ・アプローチ」とは、 「ギャップ」すなわち「差」を明確にすることを主体としたアプローチだ。 「ギャップ」は、「埋めなくてはならない『空白』」でもある。
したがって、このアプローチは、「足りないもの」に焦点を当てる。
これは、多くの場合の原則的なアプローチだ。
これに対して、「ポジティブ・アプローチ」とは、 「積極的」「肯定的」アプローチだ。
「足りないもの」ではなく、「持っているもの」を肯定的にとらえ、 それを伸ばすことで、理想に到達しようとするものだ。
この「ポジティブ・アプローチ」が、組織開発の中で重要になっている。
「機械」が壊れていて、それを直す、修復するという場合には、 「ギャップ・アプローチ」で、論理的に、足りない部分を埋めていって、うまくいくことが多い。
しかし、人間を含んだシステムの場合、 「ギャップ・アプローチ」で、「まだ足りない」「もっと努力しろ」と鞭をあてても、 なかなかうまくいかない…。
人間には感情があり、論理的にはわかっていても感情としてついていけなくなったりする。
また、人間の問題に論理だけで突き詰めようとすると、 「いい加減な人間の存在」という問題になってしまいがちだ。
人間がいきいきと働ける職場づくりといった組織開発の場合は、 「ポジティブ・アプローチ」が適している。
人々の強みや長所を土台に、これらを最大限発揮するための対話を積み重ねていく。
「AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)」や「ワールドカフェ」、「OST]などの技法が ますます注目されている。
しかし、こうした研修やイベントで、「ポジティブ・アプローチ」が盛り上がるのだが、 実際の職場での日常的なマネジメントの場で、それをどう生かしていくかが問題になっている。