ロンドンオリンピック。
連日の熱戦で、寝不足気味の人も多い。
特にサッカーでは、男女共にベスト4進出の活躍で、「サッカーは日本の国技」になったのかとも思ってしまう。
日本サッカーの成長を支える技術で、あまり知られていないのが、「言語技術」 への取り組みだ。
サッカーでは、選手は、瞬間、瞬間に無数の判断が要求される。
ボールを持ったときだけではない。
ボールを持つのは、試合時間90分の中で、僅か2.3分に過ぎない。
ボールを持たないときの判断、どこへ動き、何をするという判断を刻々として動いていかなければならないのだ。
「自分で判断してプレーする」。
個人個人のこの力を高めなければ、世界と戦えない。
代表や若手の育成に力を注いできた日本サッカー協会副会長の田嶋幸三氏は、そのために「日々の言葉の使い方」に注目した。
指導者留学で出合ったドイツの子供たちは、自分のプレーについて、「なぜ」、「どう考えて」、「何を狙って」
ボールを蹴ったのかなどを自分の言葉で述べることができた。
しかし、日本の子供たちは、自分の言葉で、自分のプレーを説明できなかった・・・。
そのことに衝撃を受けて、見つけたのが「言語技術」という方法だった。
「ディベート」などで、日々の言葉を論理的に使えるように訓練を積む。
それによって、瞬時に状況を捉え、論理的に判断してプレーができる力をつけるのだ。
息の長いこうした取り組みの成果が、国際舞台で花開いているのだろう。
自分の言葉で表現する練習を積むことは、自分の頭で考える練習だ。
日本では、「あらためて言葉にしない(言あげしない)こと」が美徳であるという価値観もある。
しかし、自分の意思や考えをはっきりと相手に(自分にも)伝えることが、国際化の時代にますます重要になっている。