企業の「純資産」とは…

貸借対照表は、資産の部 、負債の部、純資産の部の三つの部分からなる。
「純資産」とは、資産 から負債を引いたものだ。
以前は、「資本の部」と呼ばれていた部分だ(以前そのように覚えた人も多いだろう)。
しかし、「資産」や「負債」の定義に当てはまらない科目(「その他有価証券評価差額金」)もこの部分に取り込むことになり、2005年から変更された。
純資産の分の内訳には大きく分けて
Ⅰ 株主資本、
Ⅱ 評価・換算差額等、
Ⅲ 新株予約権があり、
連結会計の場合には、少数株主持分も含まれる。

純資産のうちの株主資本は、

1 資本金

2 資本剰余金

3 利益剰余金

4 自己株式などによって構成されている。

株主によって出資された資本金と利益の蓄積である利益剰余金が主要なものだ。

経営分析では、この純資産は、多いほど良い。

純資産は自己資本と同じ意味で、他人資本(負債)と違って返済の義務がない。

したがって、総資産に対してこの自己資本の比率が高いほど、企業の財務的な安全性が高く、経営が安定しているとみることができる。

また、純資産は、株などの投資判断指標の一つにもなる。

時折、「PBR 一倍割れを狙え」などと新聞、雑誌に書かれている場合がある。

この「PBR」は、「株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)の略称」のことだ。

この指標は、「株価」を「1株当たり純資産」で除したもので、株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているのかを示すもの。

利益というフローではなく、純資産というストックに注目した指標だ。

本来なら、「一倍」以上になるはずなので、「一倍割れ」は、割安な株価という意味になる。

「純資産」の理解は、企業の財務会計の理解の一つの鍵となる。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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