リッツカールトンは、世界を代表する高級ホテルとして、憧れを持って語られる存在だった。
また、そのサービスの哲学は、経営者にも注目されるものだった。
特に、会社の価値観を表わす「黄金の価値」という「クレド(信条)」は有名で、非常に印象的な一節もあった。
「私たちは、紳士淑女に奉仕する紳士淑女です
(We Are Ladeis and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen)」
というものだ。
「最高のお客様に相応しい最高の人間である」ということなのだろう。
しかし、リッツカールトン大阪では、7年間もメニュー表示とは異なるものを
「紳士淑女」に提供していたことが発覚してしまった…。
「くるまエビ」は、「ブラックタイガー」であり、「自家製パン」は、外から仕入れたものであり、「フレッシュジュース」は、「冷凍ジュース」だったそうだ…。
問題発覚後、総支配人は、連日、記者会見に追われている。
「食材が多すぎる日本固有の問題だ」?
「教育のミスだ」?
「昨年から知っていたい」、「いや7年前からだ」?
「食べた方にお金を払い戻すことで決着だ」?
問題発覚後のホテル側の対応が一段と失望を招いている。
あの「リッツカールトンの紳士淑女」ではないという失望感だ。
「おもてなし」は、何よりも「誠実さ」、「信頼」に基づいているということが忘れられていたのではないだろうか?