アメリカの政治学者、フランシス・フクヤマ氏が、「今後の中国について」講演を行った
(2013年11月8日・東京)。
フクヤマ氏の結論は、
「中国共産党政府は、増大する『中間層』の意見を無視できず、
今後、様々な改革を進めなければならなくなるだろう」
というものだ。
政治学者である氏によれば、
国の安定した政治的秩序のためには、
1)中央集権(権力)
2)法の支配(権力をけん制する法治主義)
3)民主主義による説明責任が必要だ。
中国では、昔の歴代王朝の時代から、
1)の中央集権的な国家をつくるのは上手だった。
現共産党政府もそうである。
しかし、
2)法による支配、
3)の民主主義的な説明責任については、
うまくいっていない。
これについては、中国で急増している「中間層」の欲求が満たされていない危機的状況だ。
したがって、さまざまな「改革」に踏み出さざるをえない。
これが、フクヤマ氏の中国の今後についての見通しだ。
11月11日に、中国共産党の重要な会議である「三中全会」が4日間の日程を終えた。
会議の声明の中で、フクヤマ氏が3日前に示した「見通し」に対応した「改革」があった。
「司法を改革し、裁判所の独立性を高める」
ということが発表された。
しかし、フクヤマ氏が挙げた、
もうひとつの「民主主義的な説明責任」についての改革は、
はるかに難しい道のりのように思える…。