先日、ある地方の中小企業を訪ねた。
消費財に関連するメーカーだ。
その会社、一時は、相当な隆盛を誇った。
しかし、10年ほど前に非常な危機に陥った。
危機の原因には、いろいろあるが、
大きな原因の一つは、中国を始めとする海外の安価な製品に対して価格競争力がなかったことだ。
この時期、会社では、大きな人員整理を行い、深い傷を負った。
しかし、今年は、フル生産が続いているという。
売上高の半分近くが輸出だ。
しかも、その多くは中国向けである。
なぜだろう?
中国の富裕層が、品質の良い「日本製」を求めているという。
生産コストでは負けたが、今度は、大消費国となった中国の市場に救われている。
この企業だけでなく、多くの企業で同じような話があるだろう。
数年前に、ある有名ブランドを持つ中小企業の社長が、
「もうすぐ中国の富裕層が、優れた日本の中小企業製品を求めてくる時期が来る」と言っていた。
この言葉通りになってきている。
長い歴史と伝統に裏打ちされた日本の中小企業のモノづくりが、アジア各国でますます認められていくだろう…。