コトラー 「マーケティング3.0」の時代

コトラーの「マーケティング3.0」という本は、一部は荒削りの点もあるが、非常に示唆深いものだ。
何人かの人に薦めて「面白かった」と感謝もされた。

本の中に、マーケティングの発展として、
「マインド」対応、
「ハート」対応、
「精神」対応、
に変化しているという記述がある。

本書の核心にもなるものだ。

我々、日本人には、「こころ」がある。
この「こころ」が、
マインド、ハート、精神と三つに分かれると言われても今ひとつわからない…。

コトラーは、マーケティングの発展が、

①モノからマインドへ

②マインドからさらにハートに

③そして、ハートから精神に

なるというのだ。

この背景には、これまでの詳細なマーケティング理論のトレースもある。
しかし、ここでは、
以前、「アリストテレス」についてのブログで触れた三つの概念と関連させて説明しよう。

現代では、もう企業は、言わば「人」として、「人格」を持った存在として見られる時代になった。
その人(企業)が言っていることを信じるかどうかは、アリストテレスのあげた三つの要素で判断される。

ロゴス、パトス、エトスだ。

①「なるほど道理がある」というロゴス(論理)

②「なるほど共感する」というパトス(感情)

③「なるほど素晴らしい人(企業)だ」というエトス(人間性)

①ロゴスは、マインドだ。
ポジショニンングと差別化で納得する。

②パトスは、ハートだ。
エモーショナル・マーケティング。感情を揺さぶり、引き込まれ、共感し愛着が生まれる。

③エトスは、精神(スピリット)だ。
社会的課題(経済的課題だけでなく)に対して、何を変えようとするのかというミッション、
どのような望ましい姿にしようとしたいのかというビジョン、
何を重視して行動しようとしていくのかというバリュー。

理性と感情と精神を持った全人的消費者が、企業を全人的に判断する時代となった。

理性と感情と精神を持った存在として。
それが、マーケティング3.0の時代だ…。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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