古来から、人は、他人を説得して動いてもらうことが必要だった。
古代ギリシアのアテネにおける民主制においても、特に説得力は必要だった。
人を説得する技術は、「弁論術」という名前で研究された。
現代で言えば、プレゼンテーション技術ということもできる。
「すべての物事を、くまなく観察し、数え上げ、体系化し、原則を導くことのできる人」、
アリストテレスは、弁論術をも体系化し、後世に大きな影響を与えた。
人を説得するために必要な3つの要素とは…
1)「ロゴス」
「ロゴス」とは、ロジカルなどの語源であり、「論理的」という意味だ。
2)「パトス」
「パトス」とは、パッションなどの語源であり、「感情」という意味だ。
3)「エトス」
「エトス」とは、エティクス(倫理)などの語源であり、「習慣」を表し、「人間性」という意味になる。
1)人を説得するには、論理的でなければならない。
2)人を説得するには、相手の感情に訴えるものでなければならない。
3)人を説得するには、話す人が信頼される人間性を持たなければならない。
実際の順番は、3)エトス(人間性)、2)パトス(感情)、1)ロゴス(論理性)となる。
聞き手の立場で考えると、
話を聞く前に、
まず、この人が信頼に値する人間性を持っているかどうかを考え(エトス)、
次に、その内容が快い感情をもたらすものか感じ(パトス)、
そして最後に、客観的にみて、論理的で正しいかどうかを判断する(ロゴス)、
という順番になる…。
人間性は、「徳」を持っているか?
ということになる。
明日は、アリストテレスの考える「徳」について、ご紹介しよう。