とある田舎の一軒のラーメン店。
老夫婦が高齢のために店を閉めようとした。
常連客の懇願でなんとか続けてはいたが、やはり閉店することに。
そこで、店の名前だけでも残したいと、常連客の一人の若者に店の「のれん」を託した。
それが、博多ラーメンで人気の「一蘭」だ。
熱心なファンも多く、今では、ニューヨークにも出店し、30店、50億円を超える売上だ。
成功のカギは、「とんこつラーメン」という一点だけに絞り込んだ「一寸法師戦略」(吉富社長の命名)。
究極の「弱者の戦略」だ。
しかし、もう一つの成功のカギがあった。
十年前、社長が成功に酔いしれていた頃、幹部と社員三十名が「雪崩のように」退社してしまった…。
そこから、徹底的に自分を見つめなおし、
何とかたどり着いたのが、
「欲を愛に」
という言葉。
「店を繁盛させて儲けたいという欲ではなく、
人に何かを与えるという愛で心を満たそうと誓った」
(雑誌「致知」12月号より)
今は、美味しいラーメンを作る前に、「幸せに満ち溢れた高い人間性を持つ人を育てる」会社になることを目指している。
自分の「欲」を認めた上で、その欲を、「人に与える」という「愛」に変えていった、高めていった、吉冨社長に敬意を表したい。