リーダーに必要なコンセプチュアル・スキル  第1項目

リーダーに必要なコンセプチュアル・スキルについて、何回か述べていこう。

参考にするのは、世界最大の食品メーカー「ネスレ」の名誉会長だったヘルムート・マウハー氏の言葉だ。

マウハー氏は、16年の長きにわたりネスレのCEO兼会長を勤め、業績を大きく向上させた人だ。

卓越した経営論(邦題「マネジメントバイブル」)がある。

マウハー氏は、リーダーにとって、階層が上がるごとに重要度を増していくスキルをいくつか挙げている。

このスキルは、「カッツモデル」でいう「コンセプチュアル・スキル」であると考えられる。

第1項目・・・「勇気、大胆さ、そして 落ち着き

「大きな壁に突き当たったり、短期的な批判にさらされたりしても、長期戦略を貫くためには、特に重要である」(ヘルムート・マウハー)

リーダーは、実行する人、行動する人だ。

行動すれば、「壁」にぶつかるのは当たり前だ。

また、多くの批判も受けるだろう。

そのとき、動じず、落ち着いて行動できるだろうか?

長期的な戦略を貫くために。

物事に動じない「胆力」をもって、静かに、悠々と事に当たれるだろうか?

陽明学の安岡師は、「胆力」と「胆識」について以下のように述べておられる。

「理想を持つと、その理想に照らして現実に対する反省・批判が起こり、ここに見識が生ずる」

「この見識が実践的になるには勇気がいる」

「この実践的勇気を胆力と言い、胆力ある見識を胆識と言う」 

さらに「論語」も「知」、「仁」、「勇」をリーダーに必須のものとしていた…。

リーダーに必要なスキルの第一項目は、物事を実践する「勇気」である。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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