京都にある企業、オムロンの創立者 故立石一真氏。
世間では、松下幸之助氏やソニーの森田昭夫氏ほど知られていない。
しかし、経営コンサルタントの大前健一氏は、「50歳を過ぎて事をなした人は、伊能忠敬と立石一真しかいない」と断言するほど、高く評価している。
立石氏は、50歳を過ぎてから、「券売機」やATMなど数々の「世界初」の自動機械を世に出し、従業員数を100倍、売上高を1000倍にし、オムロンを世界企業にした創業者だ。
会社の急成長の前(1953年)に、立石氏は、「あること」を悟った。
「条件整備さえ先行させれば、企業は自ら成長する」ということだ。
その条件とは、
(1)経営理念を明確に打ち出す
(2)人間の本能的行動に従う
(3)本能的行動が企業を伸ばすよう施策目標をつくる
(4)働き甲斐のある環境をつくる
(5)全員参画のシステムをつくる
(6)社会のニーズを素早く捉える
(7)常に自主技術の開発に努める
の七つ。
オムロンは、経営理念として、会社の憲法「社憲」を制定。
その内容は、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」だ。
立石氏の人生訓「最もよく人を幸福にする人が最も幸福になる」から定めたという。
蕎麦屋で払う金がなく、「代金は、自社の株券で払った」?!という苦しい時代もあった立石氏だったが、
この「7つの成長条件」を先行して整備することによって、大企業へと飛躍していった・・・。
「人間の本能」に着目した2番目、3番目の条件が特にユニークであり、心を打つものがある。