「LIBOR(ライボー)の衝撃」・・・もうひとつの「ロンドン」

ロンドンオリンピックが開幕した。

早くも、日本男子サッカーの「グラスゴーの奇跡(衝撃)」が起きるなど、英国、ロンドンに注目が集まっている。

ロンドンに注目が集まるのは、オリンピックだけではない。

「ロンドン銀行間基準金利=LIBOR(ライボー)」の不正操作問題は、世界の金融界を揺るがす大きな問題だ。

ある大手銀行が、世界の経済活動の基準となる「金利」を操作していた!

しかもこの操作は、数年間以上続き、しかも単独ではなく複数の銀行が関与しており、さらに英国中央銀行も「加担(暗黙の了解による)」していたのでは?という大きな疑惑となっている・・・。

ことの発端。

今年の6月に、英国の大手銀行バークレイズは、米英の当局からおよそ360億円の課徴金を突然、課せられた。

「LIBORにかかわる金利操作と虚偽の申告」の疑いである。

LIBORとは、欧米で、企業や個人に融資する際に基準となっている金利だ。

「LIBOR+0.3%」で貸しますなどと契約書に書かれるものだ。

金融市場における基準となる物差し、「メートル原器」のようなものと言われる。

この「メートル原器」が、恣意的に操作されていたとは・・・。

LIBORのしくみは、ロンドンの金融街「シティー」にある18行ほどの大手銀行からの申告によって決められる。申告された金利の中で、上値と下値をカットして、中央の平均値で決まる。

故意に低く申告したり、高く申告したりすれば、間接的に、自分が思う方向に誘導も可能だ。

バークレイズは、自分の金融商品の営業のために操作していたようだ。それによって巨額の不当な利益をあげていたとされる。それも2006年から・・・。

平均値であるから、一つの銀行の力では、それほど大きく値を動かせないはずだ。とすると、複数の銀行が関与?それに中央銀行も当然、気づいていた?ということになっている。

このため、株式市場では、苦境に落ちっているはずのスペインの銀行よりもイギリスの銀行の株価の下落の方が大きいという事態になっている。

イギリスは、ジェントルマンの国であった。

そう信じられてきた。
オリンピックの開会式でも、誇り高い歴史を示してくれた。

しかし、LIBOR問題は、そのイギリスに深く大きな衝撃を与えている。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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