福沢諭吉は、かつて「理想のビジネスパーソン(「実社会の大人」)」 について説いた。
思想、心の持ち方(「心術」)、才能、身体の4つの条件について触れている。
1.「思想の深遠なるは哲学者のごとく」、
2.「心術(しんじゅつ)の高尚正直なるは元禄武士のごとくにして」、
3.「これに加売るに小俗吏(しょうぞくり)の才をもってし」、
4.「さらにこれに加うるに土百姓の身体をもってして」、
「初めて実業社会の大人たるべし」
哲学者のように深い思想、元禄時代の武士のように心根(こころね)の真っ直ぐで高尚なこと。
「小役人」のようにソツなく物事をすすめる才能、さらに頑健な身体ということだろう。
「小役人」の才能というのは、現代では少し「違和感」があるかもしれない。
ここでは、「才能」よりも、「思想」と「心術」が大事なんだよという福沢先生のメッセージを受け止めたい。
「哲学者のごとく深遠な思想」とは何だろう?
それは、ドラッカーの有名な五つの質問の第一番:
「我々のミッションは何か(What is our mission)?」
に対する答えだと考える。
経営者は、
「なぜ(why)?」
「何のために?」
という問いにこそ答えなければならない。
また社員全員が答えられるようにしなければならない。
「志(こころざし)」を忘れた組織は、「思想」も「心」もなく「技術・才能」だけの組織になり、
衰退していく・・・。