「ブルーオーシャン」戦略と「業態化」

梅雨も明けて夏になると「青い海原」に行きたくなる。

マーケティングでは、「青い海原(ブルーオーシャン)」とは、血で血を洗う競争の激しい「レッドオーシャン」の対極にあるものだ。

「ブルーオーシャン」とは、「われ一人泳ぐ海」、「競争のない未開拓市場」を指す。

「ブルーオーシャン」の本の中では、成功例としてサーカス的エンターテイメントの「シルクドソレイユ」や10分1000円理容の「QBハウス」などが挙げられている。

しかし、よく考えてみると、小売業や外食産業などで行われてきた「業態化」も、革新的なものであれば、「ブルーオーシャン」という夢のような世界を創造できるものがあった。

「業態化」とは、文字通り「事業独自の形態」を図ることだ。

「業態」に似た言葉に「業種」がある。

「業種」と「業態」の違いは何か?

「業種」は、「モノ」中心のくくり方だ。

お米を売っていれば、「米屋」、酒を売っていれば「酒屋」というのが、業種だ。

同じものを売っていても、売り方やシステムが独自の形態をとっているものを「業態」という。

「モノ」中心ではなく、「顧客」中心で、お店を「編集」したものと言える。

「業態」の革新が「ブルーオーシャン」であった例として、「コンビニエンスストア」、「宅急便」、「マクドナルド」などを挙げることができる。

現在では、どれも競合が多いが、これらの事業の始まった当初は、「ブルーオーシャン」状態だった。

同じモノやサービスを扱っているようで、実は、売っているもの、提供しているものも異なる。

「コンビニエンスストア」のセブンイレブンは、米も酒も売っているが、「便利さ(コンビニエンス)」を売っている。

「宅急便」は、「全国翌日配達」、「手軽さ」を売る。

「マクドナルド」は、「早さ」「清潔さ」、それに今は友人と話す「コミュニケーションの場」・・・?

これらの大ヒット商品(業態)でなくても、街の中で業態の工夫はいろいろと見られる。

ありふれたような業種の中でも、人の働き方(ヒューマンウエア)、ソフトウエア、ハードウエアを組み合わせたシステム、新しい事業は、まだいくらでもできるだろう。

同じ業種の中でも、「ブルーオーシャン」の考え方を参考にして、「メリハリ」をはっきりするなどすると、広いブルーオーシャンへと続く道を見つけることになるかもしれない・・・。

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この記事を書いた人

 劇作家の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを楽しく」という言葉が好きです。さらに付け加えるとすれば、「そしてシンプルに」となると思います。
 松下幸之助さんの「経営とは、生きた総合芸術である」という言葉をラーニングデザインによって研究して、お届けしています。
 著書「直観でわかる経理のしくみ」(新版)、「直観でわかる人事のしくみ」(共著)いずれも東洋経済新報社刊など。
 経営ラーニングデザイナー。公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント。価値創造研究所所長。㈱ラーニングデザイン・アソシエーション会長。社内研修プログラム「ワールドフェイマスプログラム」開発責任者。

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