「ESG」とは、「環境・社会・ガバナンス」の英語の頭文字を取ったもの。
欧米の年金基金などの資産運用団体が採用する新しい投資指標として、注目度が上がっている。
「ESG」の源は、国連にある。
国連は、「持続可能(サスティナブル)な社会」を積極的に推進しているが、金融イニシアティブとして、2006年に「「責任ある投資の原則(PRI)」を提唱し、「ESG」に配慮を求めた。
ところで、既に、「SRI(社会的責任投資)」という概念が広がっているが、「SRI」と「ESG」は、何が違うのだろう?
SRIは、アメリカのキリスト教会による「倫理的投資(アルコールやギャンブル関連を排除)」から60年代の企業の社会的責任を問う運動の中で広がったとされる(「ナパーム弾」の製造禁止や人種差別政策の国からの撤退などを要求)。
「ESG」は、地球環境問題(E)の危機を背景に、企業のグローバル化による発展途上国での労働問題、あるいは先進国でのワークライフバランス(S)、グローバルに一体化した金融市場の暴走を押さえる「ガバナンス(企業統治)」(G)などの問題意識を持った指標だ。
当時の国連のアナン事務総長は、世界の投資家の前で、「今、世界は、あなたの手の中にあることに気づいていますか?」と「責任ある投資」について訴えた。
「ESG」を測る指標の内容は、まだ固まっていない。
水資源への影響やCO2などの環境要因、グローバルな市民社会としての労働条件などの地域社会要因、経営の理念や企業統治のあり方とう組織要因やガバナンス要因。
さらに顧客満足などの顧客要因、従業員の仕事内容や研修の機会などのモチベーション、従業員満足も入るなどかなり幅広い内容とされる。
今年7月には、東京証券取引所が、東証一部上場の企業から業種別の主な「ESG銘柄」を発表した。
調査会社がスコアリングしたものだ。
1.食品:アサヒグループホールディングス、
2.エネルギー:出光興産、
3.素材・化学:東レ、
4.医薬品:ツムラ、
5.自動車・輸送用機器:日産自動車、
6.鉄鋼・非鉄:アサヒホールディングス
7.機械:小松製作所
8.電機・精密:日本電産
9.情報通信・サービス:KDDI
10.電力・ガス:大阪瓦斯
11.運輸・物流:東京急行電鉄
12.商社・卸売:伊藤忠商事
13.小売:ファーストリテイリング
14.銀行:三菱UFJフィナンシャル・グループ
15.金融:リコーリース
これらの銘柄は、投資のパフォーマンスも良いとされる。
「ESG」指標と企業の利益との因果関係まだ解明されていないが、「持続可能な社会」を目指して、これからますます重要になる投資指標だ。