埼玉県南部の人口34万人の川越市。
そこに「エクセレント・ホスピタル」として名高い「川越胃腸病院」がある。
川越胃腸病院は、消化器科専門で病床数40の病院だ。
小規模な病院ながら、その姿勢と実績は、日本医療機構の専門的評価だけでなく、過去に「消費者志向優良企業」として、資生堂と同時に経済産業省大臣賞を受賞したりするなど各界で注目されてきた。
リッツカールトン日本支社長の高野登さんが、この病院に足を踏み入れた途端、「美しい雰囲気」に「参った!」と感じたという(「いのち輝くホスピタリティ」文屋刊より)。
20年以上前に義兄から経営を引き継いだ望月院長は、「医療は究極のサービス業」として、「ホスピタリティあふれる病院」を築き上げてきた。
経営理念として、
1.患者様の満足と幸せの追求
2.集う人(スタッフ)の幸せの追求
3.病院の発展性と安定性の追及
を掲げ、
人事理念として、「よき医療活動はよき人が根幹である」を基に
人間尊重の職場づくりを目指している。
自らも手術を多くする外科医師として、活動する望月さんは、
外科医と経営者の共通する点として「左手の経営」ということを仰っている。
外科医は、利き手である右手で執刀する。
「神の手」を持つといわれる先輩医師から言われたのは、「もっと左手を使え。左手を」ということだ。
初めは、その意味がわからなかった・・・。
ようやくわかってきたのは、
優れた技術をもつ右手。
その右手が自由自在に動いて、真価を発揮できるのは、
左手が動いて、不要なものを取り除くなどの環境整備をしてくれてこそということ。
左手が右手の動きと連動して、その場その場を最高の状態にするために自然に動く。
右手が活き活きと活躍できる場をつくるのが「左手を使う」ということだ。
職員の能力が最大に発揮されるような環境、働きやすい環境を整えることが
「左手」としての経営者の役割だという。
医師であり経営者でもある望月さんが、手術室でメスを握り続ける中で得た「左手こそ命」とは、深い言葉だ。